研究成果

ウイズ・ポストコロナ時代におけるフードリテラシー行動変容

アジア・オセアニア研究教育機構・准教授・錢 琨(QIAN Kun

 

研究内容・成果

人間の食行動,例えば新規食品の受け入れ,食料廃棄,炊事行動,孤食や共食などにまつわる知識・態度・能力は「フードリテラシー」と呼ばれている。新型コロナウイルスの世界的流行により,3年間の間には人間や社会全体のフードリテラシーに大きな変化をもたらした。

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本研究は,いわゆるポストコロナ社会において,フードリテラシーはどのような変化が継続的に行われるかを焦点に,2023年度から2年間継続的調査を行ってきた。調査の結果からは,コロナ禍の中で形成された一部のフードリテラシー,例えば炊事行動の継続や,若者を中心とした家族生活の際の孤食行動などはコロナ後も維持されている傾向があり,また,食料廃棄に関する地域間の行動と慣習の違いも頑健に現れている。本研究は当初予定していた海外との比較調査も実施でき,中国とタイで食にまつわる伝統文化から新しい取り組みや試みに関するフィールド調査を実施した。
コロナ前の生活様式や食行動の慣習が戻りつつあり,食の多様化がさらに進む時代には,各国における「伝統食文化の保持」と「新しい食文化の受け入れ」との文化変容の2軸モデルを用いて検討し,年齢・地域・発達環境と教育歴による違いが各国で生じることを確認できた。
本研究の成果は論文2報,国際学会発表2件として公表され,社会人向けの公開講座・大学生や高校生向けのワークショップや小学生向けの科学館セミナーを通じて一般社会に広く発信した。

 

今後の展望 

本研究の後半にあたる2024年度からは,円安の影響で生活食料品が急激に高騰し,2025年5月現在では主食にあたる米にも値段の高騰と流通の問題などで大きな社会問題となり,これらの問題は人々のフードリテラシーの変容に大きな影響をもたらすと考えられる。
今後は,社会情勢に応じたフードリテラシーに取り組み,本学関連部局と他大学と連携し,食にまつわる人間の心理と行動の変化について研究を進めていきたい。

 

 

融合分野

心理学 食育 教育学 社会学 家政学 生態学

 

研究キーワード

フードリテラシー 食行動 食文化 行動変容 食品ロス 炊事活動

関連する研究者情報
アジア・オセアニア研究教育機構 准教授 錢 琨(QIAN Kun)
持続可能な社会のための決断科学センター 准教授 比良松 道一
総合研究博物館 専門研究員 Firouzeh Javadi
関連リンク
タイ北部で保存食に関するフィールド調査
日本で小学生向けの講座で新規食品試食及び調査