研究成果

環境政策提言のためのサプライチェーンネットワーク分析

システム情報科学研究院/土中 哲秀 准教授

研究内容・成果 

サプライチェーンのグローバル化は,製品の効率的な製造を促し,経済発展に直結している.一方,全世界にまたがる複雑な構造は,サプライチェーンの全容把握を非常に困難にしている.この複雑性は,自然災害や地政学的リスクの把握を妨げるだけでなく,製品生産に伴うCO2等の環境負荷物質の排出責任の特定も困難にしている.例えば,排出に関与するステークホルダーは,直接的な排出企業にとどまらず,高負荷な原材料を利用する企業や消費者など多岐にわたる.このようにサプライチェーンの構造が不透明な現状では,適切な環境政策を推進することは容易ではない.そこで本研究は,持続可能な社会に向けて「環境保全と経済発展の両立」を目指し,ネットワーク理論や産業連関分析等の数理技術に基づくグローバルサプライチェーンの詳細な解析を通じて,政策提言に資する知見を導き出すことを目的とした.

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本研究では,主な研究成果として,世界の炭素排出の大部分を占める中間財貿易に着目し,2000~2021年の日米欧中を対象とした産業連関分析により,その排出構造を分析した.分析の結果,中間財輸出による炭素排出の変化は地域や期間で大きく異なることが示された.部門別では,中間財排出の主要因は金属や化学等の製造業である一方,欧米では輸送等のサービス業の寄与も大きいことが判明した.さらに,要因分解分析法によれば,技術改善が排出削減に貢献する反面,最終需要拡大と貿易効果が排出増加の主要因となっていることが示された.本研究で得られた中間財貿易の排出構造に関する結果は,国境炭素調整措置(CBAM)などの政策評価や持続可能なサプライチェーン構築に向けた重要な基盤となる.本研究成果は,Energy Economicsに掲載された.

Fumiya Nagashima, Shohei Tokito, Tesshu Hanaka: Identifying the driving forces of embodied emissions from intermediate goods export. Energy Economics, 108283, Elsevier, 2025.

 

今後の展望 

今後の展望として,本研究で構築した分析フレームワークを,より詳細なレベルのサプライチェーンデータや産業連関表へと適用することにより精緻な分析に繋げていきたい.また,これまで産業連関分析をベースとしつつ独立に開発されていた付加価値分析手法と環境分析手法の関係性を体系的に整理することが今後の目標である.

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融合分野

環境経済学,国際経済学,情報学

 

研究キーワード

サプライチェーン分析,排出構造,ネットワーク分析,産業連関分析,付加価値貿易

関連する研究者情報
システム情報科学研究院 准教授 土中 哲秀
経済学研究院 准教授 中石 知晃
経済学研究院 教授 加河 茂美  
東北大学 准教授 金本 圭一朗  
山形大学 准教授 時任 翔平
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